書店で盛り上がるアナログゲーム特集

 今、日本でもブームとなっている「ボードゲーム」をはじめとする『アナログゲーム』。市場規模が年々拡大しており、書店との親和性も高い商材だ。本特集では、メーカーと書店をつなぐ取次の担当者に取材して現在の国内書店での市場動向をレポートするほか、これからさらに書店で展開を広げていきたいというメーカーからのイチオシ商品情報もお届けする。




BOOKSえみたすアピタ江南西店での展開模様



子どもから大人まで楽しめる

 『アナログゲーム』とは、TVゲームやスマートフォン向けゲームとは違い、電源やコンピューターを使わないゲーム全般のこと。専用の盤(ゲームボード)の上で、サイコロやコマを使って遊ぶ「ボードゲーム」や、カードを用いる「カードゲーム」、コミュニケーションを楽しむ「パーティゲーム」など様々なジャンルが含まれる。
 特に近年は、昔から親しまれてきた「人生ゲーム」などのボードゲームや、トランプやカルタなどのカードゲームといったゲームだけではなく、コミュニケーションを重視し、オリジナリティ溢れるコマやカードで遊ぶ、より趣味性の高いゲームが人気となっており、それらを総称して「ボードゲーム」、略して「ボドゲ」とも呼ばれている。
 子どもから大人まで楽しめるもの、2人から大人数まで遊べるものなど、ゲームのジャンルやプレイ人数も多種多様で、毎年新しいゲームが年間1000点以上登場しているという。

 

発祥は「ドイツゲーム」

 現在流行しているアナログゲームの源流は、1990年代後期よりドイツで発展してきた「ドイツゲーム」だ。ドイツでは家族やティーン以上の友人同士が、一緒にアナログゲームで遊ぶ文化が定着しており、ドイツをはじめとする欧州諸国やアメリカでは、書店店頭でも多くの商品が販売されている。
 また、ドイツでのアナログゲームの市場規模は650億円以上にのぼり、まだ数十億円の日本市場もこれからさらに伸びるといわれている。



アメリカの大学キャンパス内の書店の様子。『カタン』をはじめとする多くのアナログゲームが展開されている

 

国内書店での取り扱いも本格的に

 これまではマニアなゲームファン向けの商品として、一部の書店などでは独自に取り扱われていたアナログゲーム。しかし最近では、TVやYouTubeでも頻繁に取り上げられ、雑誌の特集も組まれるようなトレンド商品となり、広く国民に知られるようになってきた。
 日本出版販売(株)(日販)でも、一昨年から本格的に取り扱いを開始。メーカーとの口座を開設し、現在10社近くと取引し、200タイトル以上を扱っている。日販では、売れ筋商品をパッケージ化したセット販売を実施。セットには売り場用のパネルと各商品のプライスカードも付いてくるほか、随時新商品の提案も行っている。

 担当する、同社商品開発部仕入課の田中麻衣氏は、「年々市場が伸びており、今年度の上半期には、全国の書店から3万個の注文を頂いている。現在100店舗以上のコーナー常設店があり、これから全国にアナログゲームが買える書店をさらに増やしていきたい」と同氏は語る。

 

置けば売れるわけではない

 取引条件は買い切りだが、他の小売店と同様、書店店頭でも値引きしなくても売れている。知的好奇心や興味関心が高い、書店への来店客層と親和性があるアナログゲーム商材だが、当然、書籍同様に積極的な販売アプローチが肝心となってくる。関連書籍との併売や、特集コーナー展開などで、書店ならではの、その店にマッチした販売戦略で楽しさを演出することも重要な要素だ。


BOOKSえみたすアピタ浜北店での展開の模様

 

 

拡がりつづけるアナログゲーム市場

 国内書店でのアナログゲーム常設コーナーは、毎年拡大している。昨年から本格的にコーナー導入をはじめたという蔦屋書店では、現在約100店舗に売り場を展開。さらに、今年は外出自粛要請により、家族で遊べるアナログゲームの需要が急増した結果、前年対比110%以上の売り上げを全店で達成している。


TSUTAYA馬事公苑店での展開の模様

 

定番の名作ゲームを伝える

 同社商品企画本部文具雑貨事業部の三矢健執行役員・事業部長は、新規に売り場を作るうえで欠かせないのは、アナログゲームの魅力をしっかりと伝えることだと話す。「書店で市場を拡大するには、何よりも新しいアナログゲームファンを増やすことが第一。そのためにはまず、名作と呼ばれる定番のラインナップを揃え、初めて知る書店客が好きになってもらえるよう丁寧な売り場作りを心掛けること」だとし、その上で各店の客層やタイミングに合わせた最適な品揃えが重要だとアドバイスをする。
 蔦屋書店でのアナログゲーム商品管理は(株)MPDがその多くを担っている。現在10社以上のメーカーと口座開設し、200タイトル以上を扱っているなかで、定番商品の在庫は常に確保しているという。

 

ファミリー向けの商品が人気

 蔦屋書店の中では、特に郊外のロードサイド店での売り上げが好調だという。30、40代女性の購買が多く、ルールがわかりやすくて楽しい、ライト・カジュアル層やファミリー向けの商品が人気の傾向にあると、同社同事業部の榊原圭輔氏は話し、ファミリー層が多い店舗の客層とマッチしていると分析する。
 また、メーカーとコラボした限定商品も企画。フランスのギガミック社が開発し、日本では(株)キャストジャパンから発売されている、幼児から遊べる人気知育ゲーム「カタミノ」に、その様々な遊び方を掲載したハンドブックをセットにしたTSUTAYA限定版を12月に発売予定だ。
 今後も書店でのボードゲーム市場を醸成し、新しいボードゲームを求める顧客にも応えていくよう品揃えを拡充していくという。


「カタミノ」のパッケージ(左)と、付属するハンドブック(右)

 

 

すごろくやに聞く 書店でのボードゲーム販売

 2006年に創業し、国内最大級のボードゲーム販売専門店「すごろくや」を都内に2店舗展開するほか、海外製品のローカライズ、オリジナル商品の開発、全国小売店への卸流通、そして書籍の出版など、ボードゲームに関するあらゆる事業を総合的に行なっているのが「株式会社すごろくや」だ。国内の販路を率先して広げ、書店市場にもいち早く参入する同社卸売・販路拡大チームリーダー齊藤充司氏に、書店におけるボードゲーム販売のテクニックについて聞いた。


齊藤充司氏

 

接客に代わる売り場作りを

 ボードゲームは、それぞれ遊び方が異なる多彩な商品が揃っており、お客様の年齢や趣向などよって、実際に遊ばれたときの感想は大きく異なります。その相性を、専門的な知識を持った店員が接客して伝えられるのは理想ではありますが、なかなか難しい書店も多いと思います。そこで、POPで商品の魅力を伝えたり、パッケージが目に飛び込んでくるような売り場を作ることが、何よりも欠かせないポイントとなります。

 

シチュエーションで分けた陳列方法

 ボードゲームの陳列方法は、ゲームのジャンルや対象年齢別など様々ありますが、書店で展開しやすいのはシチュエーション別にわけることです。季節のイベントや、知育学習、研修など様々なシーンを想定し、そこで楽しめるボードゲームを提案することで、本を買いに来たお客様の潜在的な需要にも応じることができます。
 特にこれからの季節は、クリスマスや年末年始のギフト。そして、そこで集まった際に皆で遊べるようなボードゲームを提案するのがオススメです。


未来屋書店日の出店が9月にリニューアルOPENした際、ボードゲーム販売専門店の「すごろくや」として、売り場作りに協力。各メーカーの商品を、イチオシポイントを紹介するPOPとともに展開した

 

 

【メーカーからのイチオシ商品紹介】


アークライト

花嫁が多すぎる

 



 

ファングッズとして原作コミックの読者にも訴求できるカードゲーム

 大人気コミック『五等分の花嫁』(著:春場ねぎ/講談社)が、名作ゲーム『シンデレラが多すぎる』とコラボしてカードゲーム化!
 ボードゲームファンである作者がツイートしたアイデアから企画が始まった本ゲームは、カードイラストに原作の人気シーンを使用し、パッケージは作者による描き下ろしなど、原作ファンも心から喜ぶ商品にするべく、制作陣がゲームバランスをはじめ細部にまでこだわりぬいたという。
 原作コミックとの併売も効果的で、書店での展開がオススメな商品だ。


本体価格:2500円
プレイ時間:30分
プレイ人数:3〜5人
対象年齢:8歳以上

 

©春場ねぎ/講談社 
©2020 Arclight,Inc.

 

 

ホビージャパン

ドブル

 

 

 

リアルタイム・パーティーゲームの大定番!

 2009年にフランスで生まれ、現在全世界でシリーズ累計1000万個を販売している大ヒットゲーム。それぞれ50種類以上のマークの内から8つが描かれた55枚のカードで遊べる、5つのミニゲームを収録。観察力や反射神経を競って、大人から子どもまで同時に楽しむことが出来る。


本体価格:1800円
プレイ時間:約15分
プレイ人数:2-8人
対象年齢:6歳以上

 

 

侍石(じしゃく)

 

 


知力と磁力を操る戦略アクションゲーム

 マグネット・アクションゲーム『侍石』は、磁力を帯びたストーン(磁石)を、盤上の他の磁石とくっつかないよう交互に配置していく対戦ゲーム。精神を集中する繊細な動作が重要となり、また、磁石が勢いよくくっついた時の衝撃で驚きと笑いも引き起こす、何度でも手軽に楽しめるゲーム。


本体価格:2600円
プレイ時間:約20分
プレイ人数:2人
対象年齢:14歳以上




すごろくや

だいぼうけんに でかけよう/ Ma Première Aventure

 

 

フランスで大ヒット!4歳から楽しめるゲーム絵本シリーズ

 フランスで生まれ、現在シリーズ5作目まで発表されている人気ゲーム絵本。日本語版は、シリーズ1作目の『ドラゴンをさがしに』を今年の2月に刊行し、新しい仕掛け絵本として大人も楽しめると話題を呼んだ。つづく2作目『フォボスのほしめぐり』、3作目『アトランティスのはっけん』を11月に刊行する。
 翻訳をオリジナルのフランス語から行うことで、原作の表現を活かしたまま、読みやすく、情感豊かに日本語訳しており、すごろくやの「言葉の品質」を遺憾なく発揮している。

 

3分割されたページのどれかを選んでめくることで、物語が分岐する

 

選択の結果手に入れたアイテムなどを本の隅にあるディスクを回して表示することで、プレイの状況を保存可能

 

ストーリーは一本道ではなく、様々な展開と結末が用意されている。あの時に違う方を選んだならどうなるだろう?と考え、何度も挑戦したくなる仕組み

 

本体価格:2400円
プレイ時間:15分
プレイ人数:1人専用
対象年齢:4才〜大人

 

 

ナンテッタ

 

 

絵本作家の新井洋行さんがイラストを担当
絵をよく見て、何て言った?

 名作ゲーム「ヒットマンガ」のシステムをベースに、小さい子でも遊べるようルールに改良を加えた新感覚かるた。「あけて・あけてえほん」シリーズ(偕成社)や、「えほんとあそぼ」シリーズ(くもん出版)を手がける絵本作家の新井洋行さんがイラストを描き下ろし。絵本風のカード内のシチュエーションに合ったセリフを即興で読み手が考えて話し、他のプレイヤーはそのセリフがどのカードかを予想して、早取りするゲームだ。11月下旬に発売予定。

 

※画像は開発中のものです

 

本体価格:1800円
プレイ時間:10分
プレイ人数:3~7人
対象年齢:4才~だれでも

 

 

【野中琢規】