韓国文学特集



韓流ドラマ、K-POPに続き、昨今韓国カルチャーの一大ブームとなっている韓国文学。その中からベストセラーや、話題の新刊など、今読むべき注目の作品を紹介します。

 

『保健室のアン・ウニョン先生』
チョン・セラン/亜紀書房

 


四六判/304㌻/本体1600円

 

保健室の先生が悪霊退治!Netflixでドラマ配信中

 主人公の養護教諭アン・ウニョンが赴任した私立M高校で、原因不明の怪奇現象や不思議な出来事が次々と巻き起こる。霊能力を持つ彼女は、BB弾の銃とレインボーカラーの剣を手に、同僚の漢文教師ホン・インピョとさまざまな謎や邪悪なものに立ち向かう!という奇想天外なストーリー。
 著者が「快感のために書いた」という本作は、20年9月にNetflixのオリジナルドラマ「保健教師アン・ウニョン」として実写化され、現在も配信中。アン・ウニョンを演じるのは、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』で主演を務めたチョン・ユミ。また日本でも人気が高く、モデルで俳優でもあるナム・ジュヒョクが相棒のホン・インピョを演じるなど、今注目の話題作だ。

 

 

『アーモンド』

ソン・ウォンピョン/祥伝社

 


四六判/272㌻/本体1600円

 

2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位

 

 扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない16歳の高校生、ユンジェ。   
 そんな彼は15歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、 ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。
 母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」 を丸暗記させることで、なんとか普通の子に見えるようにと訓練してきた。
 だが、母は事件によって植物状態になり、ユンジェはひとりぼっちになる。その時に現れたのが、もう一人の"怪物"ゴニだった。激しい感情を持つその少年との出会いは、ユンジェの人生を大きく変えていく─ ─ 。
 韓国でも2020年の総合ベストセラー第1位(教保文庫)となり、日韓で67万部を突破!
 世界14か国で翻訳され、中高校生からシニアまで全世代の心を掴んだ感動と希望の成長物語。

 

 

『死にたいけどトッポッキは食べたい』①②

ペク・セヒ/光文社

 



四六判/200㌻/本体14 0 0 円

 


四六判/ 2 1 6 ㌻/本体14 0 0 円

 

韓国エッセイ本ブームの火付け役!
待望の続刊も刊行

 

 「いつも自分に自信がなくて、ぼんやり死にたいと思っているのに、おなかがすいてトッポッキが食べたいとも思う。はっきりしない私の心はどうなっているんだろう」
 気分変調症のカウンセリングを通じて、著者が自分の「心の声」に耳を傾けながら他者とのかかわり方を見つめ直す過程をつづった韓国の大人気エッセイ。200冊限定のブックファンドで世に出たこの本は、徐々に口コミで広がっていく。さらに世界的に有名な人気グループ・BTSのメンバーの枕元に、本書が置かれていたことがファンの間で注目されてその内容に共感する読者が続出し、爆発的なヒットとなる。
 日本でもこの作品が邦訳されると、人気モデルやタレント、作家、インフルエンサーなどがSNSなどで触れ、若い世代を中心に注目を集める。「自分が悩んでいることと同じだ」「一緒にカウンセリングを受けているみたいでよかった」などの声が沸き起こり、現在、日韓累計6 8 万部突破のベストセラーで今も増刷中だ。
 続刊では、より深く彼女の心の葛藤が描かれている。一時期回復したかに思われた著者だったが、事故や入院などさまざまな問題が次々と襲いかかり、そこでの複雑な思いや心境を隠すことなく記していく。自分で自分を傷つけ、憐れみ、そんな自分に依存する… … 。彼女が生きづらさのループから抜け出すため、たどり着いた心のあり方とは――。

 

 

『私は私のままで生きることにした』

 キム・スヒョン/ワニブックス

 


A5 判/ 288 ㌻/本体1300 円

 

自分を認めて愛するには-
共感呼ぶイラストエッセイ

 

 日韓累計で1 4 5 万部のベストセラーとなった、韓国文学を代表するイラストエッセイ。韓国、そして日本で生き辛さを抱える若者たちの多くの共感を呼んでいる本書は、誰かの期待に応えるために生きるのではなく、自分のために、自分らしく生きるための手助けとなる、優しくも思わずハッとする70のメッセージが収められている。
 本書では、退職したら二度と会うこともない上司や、たまたま顔を合わせたどうでもいい親戚といった、たまたま通りすがっただけの「どうせあなたの人生から去っていく人」からの心ない言葉にエネルギーを使って疲弊しないよう自分に言い聞かせる、など世界にたった一人しかいない自分を大切にする方法を、読者に手を差し伸べ、優しく背中を押すように伝えている。

 

 

『頑張りすぎずに、気楽に』

キム・スヒョン/ワニブックス

 


A5 判/ 296 ㌻/本体1400 円

 

私らしく、あなたらしく
心地よい関係の築き方

 

 前作で、日韓双方の読者の共感を大きく呼んだ著者が、4年をかけて書き上げた最新作のテーマは「人間関係」と「バランス」。社会に生きる上で誰しもが悩んでいる「人間関係」について、副題にある「お互いが幸せに生きるバランスを探して」の通り、自分も相手も無理せず、健全な人間関係を作るための方法が紹介されている。
 「人間関係は人生の節目で変化するもの」「自分の感情はちゃんと言葉にして伝える」など、よりよい人間関係の作り方のメッセンジャーを担う著者の「私たちはただ、長い目で関係の種をまき続ければいい。不思議と、時間が答えを出してくれる」という言葉が、心に染み込んでくるやさしいイラストと文章で送られる一冊。

 

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』

チョ・ナムジュ/筑摩書房

 


四六判/192㌻/本体1500円

 

女性の圧倒的な共感!!
韓国文学ブームの草分け

 

 ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子のキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児… … キム・ジヨン( 韓国で8 2 年に生まれた女の子に最も多い名前)の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる― ―。
 本書はK-POPアイドルユニットのRed Velvet・アイリーンが「読んだ」と発言しただけで大炎上。さらに少女時代・スヨンやB T S・R M も言及するなど、韓国で136万部を売り上げ、社会現象にまで発展した小説で、チョン・ユミとコン・ユ共演の映画が話題になったことも記憶に新しい。
 担当編集者は「人生で理不尽なことがあったら、どうかこの本を開いてください。この本を読んで共感した仲間がたくさんいます!」と語る。

 

 

『パチンコ』上下2巻

ミン・ジン・リー/文藝春秋

 

四六判 上下とも/上巻360 ㌻・下巻368 ㌻/本体2400 円 上下とも

 

韓国系アメリカ人作家による全米図書賞候補作

 

 アメリカでもっとも栄誉ある文学賞「全米図書賞」最終候補作。オバマ元大統領も絶賛、アメリカで100万部を超えるベストセラーとなった本書は、韓国系アメリカ人ミン・ジン・リーが3 0 年をかけて書き上げた「在日コリアン一族の壮大な物語」。
 日本が朝鮮半島を併合した時代に幕をあけ、釡山沖の島に生まれ、やがて大阪に渡った女性スンジャを主人公に、その息子から孫に至る四世代の激動の生涯が描かれてゆく。歴史や社会問題を鋭く突く現代文学であり、一気読みの物語作品でもある。
 海外文学や韓国文化に関心の高い層を主な読者として想定しており、装幀には韓国の国立民俗博物館所蔵の朝鮮半島の伝統的な刺繍をあしらった。Apple TV製作のドラマ化も進行している。