「第8回料理レシピ本大賞in Japan」特集
全受賞作品を一挙紹介!! 編集者が語る制作の舞台裏

 



『カレンの台所』

滝沢カレン
サンクチュアリ出版

 



 

 滝沢カレンさんの唐揚げのレシピが独特すぎるとInstagramが話題になっていたのが2019年秋。食材と会話しているような表現の数々は、まるで文学のようで衝撃を受けました。
 私は料理が苦手で、何度もレシピ本に挫折してきたのですが、カレンさんの言葉を頼りに試してみたら、楽しく作れて感動!
 「今まであまり料理をしたことがない人が楽しめる本を作りたい」とカレンさんにご相談した所、オファーを受けて頂けました。
 通常、レシピはお手本通りに作れるのがゴールとされています。でも「料理に正解はないから、自由に、自分の感覚で楽しんで欲しい」というのがカレンさんの想い。作る過程を楽しむのがこの本のゴールなので、細かな分量も工程も、正解は一切出てきません。
 制作にあたり、カレンさんに全メニュー調理して頂いたのですが、さらに驚いたのは執筆スタイル。その時の食材たちの様子や気持ちを忘れないようにと、作って食べてその場で(しかもスマホで!)次々に原稿を書き上げて下さり…!
 その瞬間瞬間に湧き出る生ものの言葉に圧倒されました。
 発売後は、お家時間にじっくり料理をするきっかけになったという声や「料理ってこんなに楽しかったんですね」「失敗しないことばかり考えていたけど、自分らしく作ろうと思えて、料理が好きになりました」など、嬉しい感想が多数寄せられています。
 この本を読者に届けて下さった書店員・販売会社の皆様に、心より感謝申し上げます。

サンクチュアリ出版編集部 大川美帆

 □A5判/136㌻/定価1540円

 

 

『りなてぃの一週間3500円献立』

RINATY(りなてぃ)
宝島社

 

 

 初めてお会いしたりなてぃさんは、北九州市で事務のお仕事をしている、一見どこにでもいる今どきの24歳。しかし、少ない手取りでも「食べることが大好きな彼を、おいしいご飯で満足させたい」「やりくりを頑張って、結婚資金の100万円を貯めたいんです」と語る姿がとても印象的でした。
 注目したのは、節約の工夫が凝らされた「献立」の写真の数々。我慢や物足りなさとは無縁の驚きのボリューム感で、野菜もお肉もたっぷりの一汁三菜が食卓に並びます。「こんなに豪華な節約献立は、りなてぃさんにしかできない。これを売りにしよう」とみんなで即決し、昨年7月に初の本が出ました。
 「食費はどんどん下がるのに、食卓は豪華になった!」と読者から大反響を呼び、そして今回、書店員の皆様に応援いただいたおかげで、思いもしなかった準大賞をいただきました。先日の授賞式では胸いっぱいになったりなてぃさんの涙が溢れましたが、そばで見ていた私も思わずもらい泣き。この感激を忘れず、若きりなてぃさんのますますの成長をともに楽しみたいと思っています。本当にありがとうございました。

宝島社 ムック局第2編集部 編集長瀬尾香織

□AB判/96㌻/定価858円

 

 

『もっと!魔法のてぬきおやつ』

てぬキッチン
ワニブックス

 

 

▲てぬキッチンさんのアイコン画像

 

 てぬキッチンさんの著書を2年連続でお菓子部門の大賞に選んでいただき、誠にありがとうございます。
 第2弾は「てぬきに磨きをかけ、今持てるすべての力を出し切って、でも味は絶対に美味しくして、作ってよかったと思っていただきたい!」という、てぬキッチンさんの強い熱意のもと、「もっと手を抜いて、もっと美味しく!」をテーマに制作しました。
 前回同様「材料5つまで」「オーブン不使用」「特別な材料を使わない」ことはもちろん、今回は特別な道具も極力使わないよう工夫しています。ハケのかわりにキッチンペーパーを使ったり、綿棒のかわりに菜箸で代用したり。もちろん絞り袋なんて使わず、ポリ袋で混ぜてそのまま絞ります。さらには、材料を混ぜたボウルでそのままケーキを焼いてしまいます。
 もう1つ、目指したのは「お菓子作りを楽しんでもらいたい」ということ。子供の頃に憧れた「夢のビッグプリン」、餃子の皮で作る「くるくるロールクッキー」、おうちで作れるなめらかな「ソフトクリーム」など、ちょっと驚きのある、作ってみたくなるようなレシピをたくさん詰め込みました。
 大変なことなんて一切なしで、作る過程もワクワク楽しくて、食べると美味しくて幸せになる。これまでになかった、そんな魔法のようなお菓子作りを多くの方に楽しんでいただけたらうれしいです。
 本書にかかわってくださった皆様に心より感謝を申し上げます。このたびはありがとうございました。

書籍編集部副編集長 森摩耶

□B5判/128㌻/定価1320円

 

 



『世界のおやつ おうちで作れるレシピ100』

鈴木文
パイ インターナショナル

 

 

 世界中を旅するなかで、現地の家庭やパティスリーに飛び込み、その土地で親しまれる「おやつ」レシピを習得した鈴木文さんによる100種のレシピ本。
 「じっくりと腰を据えて、でも気軽に、お菓子作りの工程から楽しんでほしい。」「見た目の美しさや正解のレシピだけにこだわらない創作の自由さを伝えたい。」そんな鈴木さんの想いから、読者の想像力をかきたてる、イラストでのレシピ本となりました。家庭のおやつといえど、様々な国で親しまれる原料や工程は日本では馴染みのないものも少なくありません。100ものレシピを何度も試作し、日本人の舌に合う味と家庭でも作れるプロセスとして提案しているのも、本書籍の魅力の一つです。
 一方で、普段お菓子作りをしない読者も購入しているという声も聞こえてきす。世界の「おやつ」には、その土地の風俗や歴史が凝縮されているので、郷土菓子を知ることは、文化史を辿ることにもつながるのです。
 おやつ1つを通しても世界は大きく広がります。おやつを巡る旅が、はりつめた日常の抜け道となれば幸いです。

編集部 宮城鈴香

□A5判変型/208㌻/定価2035円

 

 

『基本調味料で作る体にいいスープ』

齋藤菜々子
主婦と生活社

 

 

 今やレシピは無料で手に入るものです。ネットで検索すればいくらでも出てくることでしょう。便利な世の中になりました。しかしそれが故にレシピ1つ1つの価値は低下しつつあります。私たち料理編集者の使命は、真に価値のあるレシピを、必要とする読者のみなさんのもとへお届けすること。そのためにはどうすればいいのか、ネット全盛の時代にレシピ本はどうあるべきなのか、いつも以上に考えを尽くして、著者の齋藤さんやスタッフのみなさんとともに作り上げたのがこの本でした。
 このようなすてきな賞をいただき、今だからこそ発揮できるレシピ本の良さがあるのだと改めて確認できたことを、とてもうれしく思います。ありがとうございました。

別冊主婦と生活編集 小田真一

□B5判/96㌻/定価1485円

 

 

『野菜はスープとみそ汁でとればいい』

倉橋利江
新星出版社

 

 

 「今日は何食べたい?」「なんでもいいよ !」毎日聞かされる不毛な答え。忙しい中、めげずに献立を考え続ける聖なる人たち。
 何かできないか倉橋利江は考える。
 野菜をたくさん食べさせたい!母の望み、家族への思い。玉ねぎ1個分、にんじん1本分、なす2本分。スープとみそ汁なら野菜をぺろりと食べられる!鍋でさっと煮込むだけ!忙しい人にも作れてボリューム満点。しかも、煮汁に溶け出した栄養をまるごとGET!晩ごはんにもお弁当にも!
 倉橋利江は今日も考える。
 いつもの食材、毎日食べても飽きない、かんたん、おいしい、手間いらず……お金もかけない。ふつうのおかず、当たりまえのメニュー。一見平凡に見えるレシピが倉橋利江マジックで抜群においしくなる!
 料理レシピ本大賞2度目の入賞がそのおいしさを証明してくれた。

編集長 藤森俊明

□A5判/128㌻/定価1320円

 

 

『syunkonカフェごはん7 この材料とこの手間で「うそやん」というほどおいしいレシピ』

山本ゆり
宝島社

 

 

 この本は、“くすっと笑える簡単料理本”として日本一売れている料理シリーズ、「syunkon」の10冊目になります。シリーズの集大成として作った「10冊分のレシピが材料からひける特製の別冊インデックス」は校正も大変でしたが、「これが欲しかった!」との声で報われました。「自分のレシピを手抜きだと思ったことがない。レンジだろうが1品だろうが、ごはん作ってる時点で満点やろ」と書かれたあとがきにもたくさんの共感が集まりました。
 毎日大忙しの、頑張っているすべての人にそっと寄り添ってくれる山本ゆりさんの魅力を詰め込んだこの本を並べて下さり、読者の皆様へと橋渡しをして下さる全国の書店員の皆様に、心からお礼を申し上げます。

宝島社 ムック局第2編集部 編集長瀬尾香織

□AB判/120㌻/定価924円

 

 

『自炊。何にしようか』

高山なおみ
朝日新聞出版

 

▲著者の高山なおみさん

 

 著者の高山さんは神戸に引っ越し一人暮らしをはじめてから、絵本の制作を多く手掛けていて、料理本はお休みしていました。そこにライターの赤澤さんが神戸まで足しげく通い、口説き落として本企画が決まりました。本書の制作はスタッフ4名で神戸合宿。テーマは高山さんの『自炊』とだけあって、撮影も朝ごはんから時系列で行います。季節ごとにリアルな朝・昼・晩ごはんを撮影し1年間の自炊を丁寧に追いました。組んでみると当初の予定の倍の384ページになって上がってきて、版元担当としては大パニックに。とにかく分厚い本にしたいというデザイナーの立花さんの意向を実現すべく奮闘しました。2,200円という高価格にも関わらず、発売当初から好調な売れ行きで即重版が決まり、このような賞もいただけました。さらに多くの読者にこの本が届きますよう願っております。

生活・文化編集部実用書編集長 森香織

□A5判/384㌻/定価2200円

 

 

『料理はすごい!』

柴田書店編
柴田書店

 

 

 子どもたちが、いちばん最初に手にする料理本が、素敵なものであってほしい。そんな思いで作った一冊です。とはいえ、子どもを読者に想定した本を作るのは、わが社としては初めてのこと。まずは、子どもたちにアンケートをとることから始めました。好きな料理は? 苦手なものは? どんな料理を作ってみたい? といった質問に答えてくれた子どもたちの意見が、この本のベースになっています。
 料理をお願いしたのは、雑誌やテレビでもおなじみの4人のシェフたちです。子どもが自分で作れる料理や作り方を、一生懸命考えてくれました。もちろん、味に妥協はありません。また、おいしく作るためのちょっとしたコツも、理解しやすい言葉で丁寧に説明されています。料理に興味をもちはじめたお子さんにプレゼントしてあげると、きっと喜んでもらえるのではないかと思います。

書籍編集部 長澤麻美

□B5判変型/144㌻/定価1760円

 

 

『syunkon日記 おしゃべりな人見知り』

山本ゆり
扶桑社

 

 

 山本ゆりさんのエッセイ3作目となった本作。今回もまた、お腹を抱えて笑い、そしてほろりとさせられる秀作揃いと自負している。しかし、なぜこんなにも山本さんの言葉は読者の心の奥底にまで届くのか。それは届けたい「だれか」のために、まるで私信のように言葉を紡いでいるからに他ならない。 友達に、家族に、そして読者のだれかのために。自分の心を無防備なまでにバンと開け放って一緒に悩み、涙する。ピリッと効いたスパイスのように真理を突いた言葉は、笑いで優しく包み込む。まるで熟練の料理人の仕事のようだ。というか山本さんのレシピそのものかもしれない。配合を何度も見直しだれかのために試作を繰り返す。出来上がるレシピはだれにでもできるけどだれかのための特別なひと皿。エッセイも料理もそれが山本さん流だ。

執行役員 小林孝延

□四六判/336㌻/定価1540円

 

 

『眠れぬ夜はケーキを焼いて』

午後
KADOKAWA

 

 昔から生活サイクルが乱れがちな午後さんは、真夜中に目が覚めて途方に暮れた時、焼き菓子をつくることが多いのだそうです。「1日を無駄にしてしまったことからくる自分の不甲斐なさを、何かを作り出すことで生まれる達成感で打ち消そうとしている」とのことですが、提案されるレシピの魅力的なこと。簡単かつ美味しくできるように工夫されているため、初心者にもハードルが低く、リピート間違いなしのレシピぞろいです。
 また、手順を描いた漫画の中に“はかりを仕舞うタイミング”まで示されていることも「わかりやすい」と読者から好評を得ています。 ひとりつらい思いをしている夜に、そっと寄り添ってくれる1冊です。

コミックエッセイ課 深川奈々

□A5判/160㌻/定価1265円

 


【受賞版元からのメッセージ】

 

 

書店店頭で受賞作品フェアを展開‼

 

▲拡材用フェアパネル

 公式HPからフェア用拡材をDLできます。

 


「第8回料理レシピ本大賞in Japan」授賞式を開催

 

 「第8回料理レシピ本大賞in Japan」の受賞式が9月7日に開催され、今回受賞した全11作品が発表された。今年も会場には、同賞アンバサダーの天野ひろゆきさんや、受賞者など関係者のみが参加し、授賞式の模様はYouTubeでライブ配信された。
 お菓子部門大賞2連覇を達成したてぬキッチンさんは「応援してくれる皆様の温かい言葉が活動を続けていくためのエネルギーになっている。これからも多くの人にてぬきレシピを届けられるように精進します」と意気込みを語った。
 料理部門大賞を受賞した滝沢カレンさんは「もしかしたらドッキリの可能性もあると、今日が来るまでは本当に信じられなかったのですが、今はいろんなことを実感しながら受賞の喜びを噛み締めています」と涙を流しながら感謝を述べた。
 また、大賞作品のレシピを再現した料理を天野さんが試食する恒例のコーナーも行われた。

 

▲(左から)天野さんとカレンさんの特大パネルと大川さん

 

▲中継でつながるてぬキッチンさん

 

▲チキン南蛮の物語を感じる天野さん