フライヤー「ビジネス書グランプリ2022」発表 致知出版社『1日1話、仕事の教科書』がダブル受賞

 本の要約サービス「flier」を運営するフライヤーは2月15日、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」(グロービス経営大学院)の受賞作品を発表した。総合グランプリには致知出版社の『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が選ばれた。同書は自己啓発部門賞も受賞したほか、致知出版社の『稲盛和夫一日一言』が政治・経済部門賞に選出された。同日に東京都内で開かれた授賞式で担当編集者、著者らを表彰した。

 

 

総合グランプリの致知出版社・小森氏(前方中央)ら受賞者の皆さん

 

 

 7回目を迎えた今回の「読者が選ぶビジネス書グランプリ」は、2020年12月から21年11月の間に国内で刊行された書籍が対象。53社の出版社から119冊と、フライヤーとグロービス経営大学院らが推薦した7冊の合計126冊がエントリー。過去最多のエントリー数で、「flier」会員や一般読者による投票数も前回の30%増だったという。

 

 全6部門(自己啓発部門、イノベーション部門、マネジメント部門、政治・経済部門、リベラルアーツ部門、ビジネス実務部門)と、総合グランプリを選出。さらに、売り上げから選出した書籍に贈る特設賞として、今回から「ロングセラー賞」を新たに設けた。

 

 授賞式はグロービス経営大学院東京校(東京・千代田区)で行われ、オンラインでも配信された。各部門賞を受賞した担当編集者や著者らが登壇。それぞれの本が生まれた経緯や、思い入れなどを語った。

 

書店員も「心が熱くなる」本

 

 総合グランプリと自己啓発部門のダブル受賞となった『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』は、仕事のプロフェッショナル365人の言葉を紹介し、ベストセラーとなっている。同書と政治・経済部門賞に選ばれた『稲盛和夫一日一言』の担当編集者である致知出版社・小森俊司書籍編集部次長はグランプリの受賞後、『1日1話…』の企画から出版までを紹介。「本を作っている最中は楽しくて仕方なく、まさに『夢中』だった。私1人の力ではなく、編集部の総力を挙げて生まれた作品」と語った。

 

 また、「この本は読者だけでなく、全国の書店員さんの心も熱くさせた。『この本を売らなかったら、書店としての存在意義を失うのではないか』というありがたい言葉もいただいた」と、多くの書店での展開に改めて感謝を示した。3月下旬には、同書の続編も刊行する予定であることも明かした。

 

 最後に、フライヤーの大賀康史代表取締役CEOが受賞作品について総括。「めまぐるしく移り変わる環境への対応力が求められる1年だった。そんな背景と受賞作の傾向から、今回のキーワードは『普遍的なものへの回帰』だ。ロングセラーが年間の書籍売り上げの上位にランクインし、リベラルアーツの価値が再注目された年でもあった。コロナ禍で試行錯誤が続き、変化が激しくなるがゆえに、普遍性が回帰したのだろう」と話した。

 

 なお、2月16日から順次、紀伊國屋書店新宿本店や八重洲ブックセンター本店など全国約1300店で、店頭フェアを開催している。受賞作品は次の通り。

 

 

各書店でのフェア展開イメージ

 

 
 ▽総合グランプリ=『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監修/致知出版社)
 ▽自己啓発部門賞=『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(同)
 ▽イノベーション部門賞=『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』(尾原和啓/幻冬舎)
 ▽マネジメント部門賞=『ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる』(ジム・コリンズ、ビル・ラジアー、土方奈美・訳/日経BP)
 ▽政治・経済部門賞=『稲盛和夫一日一言』(稲盛和夫/致知出版社)
 ▽リベラルアーツ部門賞=『認知症世界の歩き方』(筧裕介/ライツ社)
 ▽ビジネス実務部門賞=『超ファシリテーション力』(平石直之/アスコム)
 ▽ロングセラー賞=『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン、久山葉子・訳/新潮社)