21年コミック市場 紙+電子で6759億円 2年連続で過去最高に

 | # # 2022年3月3日

 公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は2月25日、2021年(1~12月期累計)のコミック市場推定販売金額を発表した。それによると、紙と電子を合わせたコミック市場は、前年比10・3%増の6759億円となり、前年に続き2年連続で過去最高を更新した。内訳は、紙(コミックス+コミック誌)の販売金額が同2・3%減の2645億円、電子コミックが同20・3%増の4114億円だった。また、出版市場におけるコミック(紙+電子)のシェアが40・4%となり、初めて4割を超えた。

 

 電子出版市場規模は、読者が支払った金額を推定したもので、広告収入は含んでいない。『出版月報』の22年2月号(頒価2200円)で21年のコミック市場を発表した。

 

紙コミックスが0・4%増

 

 紙のコミックスの推定販売金額は前年比0・4%増の2087億円。コミック誌は同11・0%減の558億円。出版科研によると、紙のコミックスは前年、巣ごもり需要の中で『鬼滅の刃』(集英社)が大ブームだったが、その勢いを持続。21年も『呪術廻戦』(同)や『東京卍リベンジャーズ』(講談社)が大ブレイクしたほか、マンガアプリやWeb連載されている作品でも、新たなヒットが生まれ、前年から微増となった。

 

 一方、コミック誌は人気作品の最終回掲載号や、漫画家の追悼号、人気コスプレイヤーのグラビアなど単発で売れる号はあるものの、3年連続で二桁減となり、依然として厳しい状況が続いていると分析している。

 

電子は4000億円突破

 

 電子コミック市場は、推定販売金額が前年比20・3%増の4114億円で、初めて4000億円を突破した。

 

 前年、コロナ禍の自粛生活で拡大した新規ユーザーが、そのまま定着して電子コミックを購入。さらに、「縦スクロールコミック」がマンガを読んでこなかった新たなユーザーを掘り起こしていることもあり、2割ものプラスとなったと見ている。また、紙でも売れている少年向けのヒット作品や、女性向けの異世界作品が売れ筋となっているという。

 

 違法海賊版サイトのアクセス数は増加しているが、代表的サイト「漫画BANK」が閉鎖されるなど、業界団体の取り組みが一部成果をあげていると指摘している。