ジュンク堂池袋本店 5大文芸誌で「作家書店」 編集部が600点選書、4月にイベントも

 ジュンク堂書店池袋本店の名物企画「作家書店」で、「変貌する文芸誌」が2月19日から始まった。群像、新潮、すばる、文學界、文藝の5大文芸誌の編集部が選書。6階特設会場に600タイトル弱の書籍、雑誌を集めた。

 

 昨今の文芸誌は連載小説や文芸評論だけなく、社会情勢や最新カルチャーの動きを鋭敏に察知しアニメ、フェミニズム、ケアなどこれまで文芸誌では注目されることの多くなかったテーマを特集。思想、哲学、社会学、人類学などの他の学問領域の第一線で活躍する書き手の起用や、発表媒体が少なくなった長尺ルポルタージュも掲載するなど反響をよび月刊誌、季刊誌ではあまりない重版や売切号なども出てきてる。

 

企画を担当している小海氏㊧と齊藤氏

 

 企画を担当したのは文芸を担当していた小海裕美課長(現理工書担当)。10年以上前から担当していたとき、現在に比べるとジャンルに関する知識を身近に得られる手段や媒体が少なかったことから、文芸誌を読むことからはじめた。「(ジャンルを)勉強するのにこれ以上適したものはない」。文芸誌は書き手の情報や売り場づくりに直結する最適の媒体だった。

 

 また、「書籍をつくった人の思いは帯や宣伝で知ることができるが、雑誌だと内容が多岐にわたり編集部単位でつくられているので、どんな意図で特集を組んだのか知る機会が少ない。編集部にいつか聞いてみたいと思っていた」という。その折、近頃の文芸誌で扱うテーマや特集の幅が広がっていることをみて企画した。

 

 選書は「雑誌からうまれた本」「編集者の座右の一冊」「机上にいつも置いている書籍」「編集作業に欠かせないツールとしての書籍」など11テーマを設けた。選書した雑誌や書籍を各編集部ごとにわけず、テーマごとに並べていることも特徴。編集者が直筆POPで読みどころを簡潔に記している。

 

 編集部が自信をもって送り出した「会心の一号」や、「やられたと思う号」など他の文芸誌について率直に評価したコーナーもある。作家書店を担当する森暁子副店長は、書店員目線でみると「気になっている本」の選書から「これからどんな企画が生まれるか、方向性も垣間見えたりする」という。

 

「やられたと思う号」の選書では、文芸誌以外もみえる

 

 雑誌担当の齊藤加菜氏は、現在の文芸誌をみて「ジェンダーとケアのうねりがすごい。いかに社会で注目されているテーマを早く編集しているかが伝わってくる。いつも新鮮なテーマを読むことができる」と話す。

 

 選書リストは、一部をのぞき「honto」の特集一覧で公開している。会期中は、毎月上旬に発売される最新号のほか、バックナンバーも揃える。4月には選書に携わった編集者らがオンラインイベントにも出演する。9月4日まで。

 

 森副店長は「文芸誌を小説がたくさん連載されているものというイメージをお持ちの方はたくさんいる。なにか面白い本がないかと探しに来る人は、雑誌を1回買ってみてはどうでしょうか。(本を選ぶ参考として)雑誌をうまく利用してほしい」と話している。