集文社 新人絵本オーディション開催、絵本作家の「原石」探す

 絵本の出版などを手がける集文社はこのほど、新たな絵本作家を生み出すことを目指し、第8回「新人絵本オーディション」を開催した。その最終選考会が3月24日、東京・千代田区の「神保町ブックハウスカフェ」で開かれ、参加した5社の出版社の編集者らが全国から寄せられた絵本46点を読みながら、出版できそうな作品がないか選んだ。

 

オーディションの主旨などを説明する早川社長

 

 集文社が主催する同オーディションは、「絵本作家を目指したいが、どうすればいいか分からない」「このまま絵本作家を目指し続けていてもいいのか」と迷う人たちのためにスタート。同社の早川裕社長は「大きな規模のコンテストは数多くあるが、なかなかスポットが当たらない絵本作家志望の人はたくさんいる。そんな彼らがきっかけをつかめるチャンスになれば」と開催の意義を話す。

 

 応募はプロ・アマ問わない。画材・テーマも自由で、サイズはA4判以内だが、形やとじ方などにも制限は設けていない。前回まで、応募作品を絵本作家や大手出版社の編集者に審査してもらっていたが、今回は絵本に熱心な出版社の編集者に集まってもらい、作品を吟味。気になった作品に手を挙げてもらう「昔のテレビ番組『スター誕生!』のようなスタイル」(早川社長)で実施した。

 

 参加したのは集文社のほか、ひだまり舎、百万年書房、ボイジャー、SUGAOの編集者ら。会場に並べられた応募作品を1冊ずつ真剣な面持ちで読み、気になった作品に講評を付けていった。

 

 全員が読み終えたあと、早川社長が1冊ずつかかげながら、感想やアドバイス、出版に向けて興味を持っていないかなどを聞いていった。参加した編集者はそれぞれ講評などを語り、タカタカオリさん作「ばけばけバス」にひだまり舎の編集者が出版に興味を持ったと手を挙げた。

 

早川社長の著書『絵本はもっと面白くなる!』(牧野出版)

 

「絵本の可能性まだまだある」

 

 早川社長は「子どもの本の専門店『クレヨンハウス』のスタッフから始まり、絵本に関わり続けて40年になる。絵本にはまだまだ可能性がある。しかし、新たな絵本作家が生まれないのは業界にもマイナス。これからもオーディションや絵本講座を続けていきたい」と、改めてその思いを強くしている。【増田朋】