偕成社『さかなくん』× NetGalley

魚、人間、とかげ…異なる生き物が共に生きる世界を描く

 

23cm×19cm/32㌻/定価1430円

 

未来屋書店ボンベルタ成田店 森川由香

淡い色がきれいで、隅々まで細やかな絵は、本当に驚くもので、しおたにまみこさんのすばらしさがまた見られて嬉しかった。小さな子の真っ直ぐで素直な気持ちで描かれていて、現実の子どもたちも、私たちの日常もこんなやさしい世界であってほしい。

 

図書館関係者 マンドウカヅキ

私の勤務校は何らかの支援を必要としている児童が3割以上を占める。このさかなくんの光景は、そんな子どもたちの姿と重なる。この物語の世界は、「がっこう」だけのお話ではない。この社会のどこかで起きている現実の出来事なのだ。

 

明文堂書店TSUTAYA戸田 坂本まさみ

可愛らしく、さかなくんの表情も生き生きとしていて、楽しい気持ちになる。「子ども達の楽しい日常ってこんな感じかも」と穏やかな気持ちの中で、様々な種類の生き物が等しく過ごしている心地良さを感じられた。

 

レビュアー 池端千裕

表紙の絵がとても繊細で惹かれました。さかなの子ががっこうに行って過ごす日常生活を描いている。自分がマイナスだと思うことも周りからはプラス、羨ましいと思われることもある。絵本になったら実際に、手にとって読んでみたい。

 

レビュアー 雛猫

色々な動物が学校に通う話はよくあるが、魚まで一緒に通うとなると、確かに大変なことだ。人間も登場することで、完全なファンタジーと切り離されず、一緒に学校に通ってみたいな、と実感を伴いながら読むことができた。そして何より絵が素晴らしい。

 

レビュアー

「何かを学び、考え、話し合うきっかけにせよ」といった問題提起を強要しない描き方に、安心感がもてます。絵を眺めて楽しむのも、声に出して楽しむのも、「どんなふうに楽しんでもいいんだ」そのやさしさが、この絵本の「姿」なのかなと思いました。

 

メディア関係者 新井智美

「多様性を認めよ」と世の中が言い出してずいぶん経ったけれど、むしろ世界は認めるどころかますます不寛容になっているような気がする。この絵本にはその、多様性を認めることの本質がこんなにも短く優しい絵で描かれていた。

 

レビュアー 吉田裕美

隣の芝生が青く見える時、さかなくんは教えてくれる。つらい時は休みつつ、時には誰かの力も借りながら、「変化」を怖がらずに一歩を踏み出せば、きっとあなたの芝生は青くなる。不安を感じている人の背中をそっと優しく押してくれる一冊だ。

 

レビュアー 松本勇樹

今、ロシアが戦争をしている。自国だけが都合のいい環境なんてどこにもない。色んな国がそれぞれの不自由さを受け入れ、互いを尊重し成り立っている。だからこそ、私はこの絵本を戦地で配ってあげたい。さかなくんの多様性を学べと。

 

図書館関係者 和田薫子

ただ美しいだけではなく、多様性社会のあり方を、小さな子どもが物語を通して自然に考えられるような構成。魚と人間が同じ立ち位置の生き物として描かれており、とても新鮮だった。親子で一緒に読んで、考えられる素敵な絵本。

 

【内容紹介】
さかなくんは、さかなですから水の中で暮らしています。小学校に行くときは、ゴムのズボンをはいて、水でいっぱいのヘルメットをかぶって、ひれにはクリームを塗って……と、ひと仕事。でもきゅっきゅと歩いて通う小学校をさかなくんは好きなのです。ただ、ひとつ、体育の時間だけはきらいでした。なぜなら、さかなくんは走るのが苦手だから……。さかなくんの暮らす世界を魅力的に描ききった一作。私たちと同じようなごく普通の毎日だけど、どこかちがう、そんな世界をたっぷり味わえます。