料理部門 大賞
ライツ社『リュウジ式至高のレシピ』リュウジ

「出版するからには『至高のレシピ』は絶対に大賞を獲らなければいけない」と、ずっと思ってきました。それはこの本が、著者であるリュウジさんがいちばん出したかった本だからです。
リュウジさんがTwitterで初めてバズを起こしたのは2017年、そこから「自炊の楽しさを伝えたい」という思いのもと、まずは読者の料理へのハードルを徹底的に下げる発信を続けて、ついに大賞を受賞したのが、前々回の『悪魔のレシピ』でした。
その後、あるテレビ番組に出演された際に「人生の宝物はなんですか?」という質問に、料理レシピ本大賞でもらった盾を紹介されていました。ぼくもほんとうにうれしかったです。その頃は、いわゆるかんたんレシピ本の全盛期でした。
そこから、次にリュウジさんが挑んだのは「かんたん」でも「時短」でもないレシピの発信でした。手の込んだ料理、ハードルの高い食材、いままでは控えていた調味料、……それが受け入れられるかどうかはわかりませんでした。
それでも「至高」とは、「人生でいちばん美味しい」とは、「自分の舌に合わせて、自分好みの味にした料理のことだ」ということを伝えたくて、リュウジさんはこの本を出し、その結果、『至高のレシピ』は前作を上回るスピードで売れていきました。この売れ行きこそ、多くの読者に「自炊の楽しさ」が伝わったという証明ではないでしょうか。
リュウジさんの5年間のたゆまぬ努力に、最大限の敬意と感謝を贈りたいと思います。
代表取締役社長 大塚啓志郎
お菓子部門 大賞
主婦の友社『満月珈琲店のレシピ帖』 桜田千尋
満月珈琲店のイラストを初めて見た時、一瞬で心を捉えられました。どこか懐かしく、このままずっと眺めていたいような不思議な感覚。見ているだけで、ふぅ~とひと息つけるような、やさしい癒やし。そんな満月珈琲店のメニューを実際に作って、食べられたらみんなに喜んでもらえるんじゃないかな…。そのような単純な理由で、著者の桜田さんと企画の話し合いがスタートしました。
桜田さんも私も、大のスイーツ好き。仕事で疲れた1日の終わりには、一杯のお酒よりも、何か甘いものをくつろぎながら食べるほうが、気持ちがリフレッシュできるよね、という話で意気投合…!打合せの場所はレトロな喫茶店やファミレスなどで、スイーツやドリンクのメニューを、いろいろ吟味するのが楽しいひと時でした。
また桜田さんはファンや読者を特に大切にされる方で、その姿勢にはいつも頭が下がります。SNSやイベントなどでも、どうすればみんなが喜んでくれるか、もっと楽しんでくれるかを常に第一に考えてくれています。そんなファンや読者への愛や思いが、ハッと人を惹きつけるイラストにも表れているんだろうなと感じます。
なかなか夜空を見上げる機会が少ない今ですが、月や星に思いを巡らせながら、満月珈琲店のレシピでゆったりと特別な時間を過ごしていただければと思います。一人でも多くの方の疲れが癒やされますように…。
コンテンツ編集部 中川通