
2度の中止、継続の危機乗り越え「BOOK EXPO」開催
大垣実行委員長「現場スタッフの参加を!」
関西出版界の大商談会「BOOK EXPO2022秋の陣」が11月2日、大阪・北区のグランフロント大阪で開催される。新型コロナウイルスの影響で、2020、21年と2回の中止を余儀なくされ、3年ぶりの開催。大垣全央実行委員長(大垣書店)は「出版社も書店に会いたがっている。短時間でもいいので、一人でも多くの書店人に足を運んでほしい」と呼びかけている。大垣氏に今回の概要や見どころと併せて、中止が続いた2年間の苦悩を聞き、最後に書店に向けてメッセージを寄せてもらった。
目立つ初出展、新しい出会いに期待
今年のテーマは「今こそ集まれ!書店人」。考案した北山耕三実行委員(恵文社)は「今、集まらなければいつ集まるんだ!」、「厳しいときだからこそ、現場の力を見せつけよう!」という熱い思いを込めた。
出版社191(一般131、コミック26、児童書34)、第三商材12のブースを出展するほか、「大阪ほんま本大賞」や「京都本大賞」、さらに今年から創設された「ひょうご本大賞」の紹介コーナーも設ける。
社会状況を考えて、著名作家を招いてのサイン会など派手なイベントは控えた形となったが、大垣氏は「人気のコミック、児童書ブースは区分けし、集中して商談しやすいよう工夫した。さらに前回(3年前)出展していない社が27社もあり、新しい出会いが期待できる」と今回のポイントを話す。
毎年、秀作揃いで注目度が高い「西日本POP王決定戦」は、今年も「手書きPOP部門」が327作品、「ディスプレイ部門」が286作品と多数の応募があり、しのぎを削っている。審査に参加した大垣氏は「本当にすごい!両部門ともレベルの高さに驚かされる。若手書店人からベテランまで作品に込めた熱い想いを読者に伝えたいという気持ちがビンビン伝わった」と感想を述べ、「当日は作品を展示するので制作者の熱い想いを感じとってほしい」と呼びかける。
心折れかけたときも
準備期間を振り返ると、4代目の実行委員長に就任した矢先にコロナウイルスの猛威が押し寄せ、大垣委員長の船出に待ったがかかった。翌年も中止となり、大垣氏は「コロナが収束してもこのままBOOK EXPOはなくなってしまうのでは」と不安も襲ったという。また、「開催を英断しては緊急事態宣言が発令されるなど2年半、本当に苦しかった。こんなにしんどいなら今年も中止の方が楽かも知れないと頭をよぎったこともあった」とコロナ禍の苦悩を振り返る。
「しかし、出版社も都府県を跨いでの営業や出張がNGの社が多く、『関西の書店と会いたい』の声が寄せられていた。JPICも毎年、開催の方向で献身的に事務作業を進めてくれていた。なにより実行委員会メンバーの書店愛、『今年こそ開催するんだ』という思いが強かった」と気持ちを切り替え、関係者ら満場一致で実施に向けて突き進んだ。
ただ、「懸念材料もある」とし、「売上低迷による人員削減で、どの書店もぎりぎりの人数で店頭をまわしている。商談会に足を運ぶ時間が取れるかが心配」という。「大変だとは思うが、オーナーは、現場スタッフに『商談会に行ってこい』と言ってあげてほしい。店にとっても必ずプラスになる」と参加の意義を強調する。
読書推進月間との相乗効果に期待
一方、今年から始まる従来の「読書週間」や「本の日」、各地の読書推進活動と連携して取り組む「秋の読書推進月間~本との新しい出会い、はじまる。BOOK MEETS NEXT~」(10月27日~11月23日)の期間内にBOOK EXPOが開催されることについて大垣氏は「推進月間は、人気作家の講演、対談を皮切りに、いろんな仕掛けが用意され、全国で盛り上がること必至。その影響で店頭が忙しく商談会に来られないというのは複雑だが、相乗効果を図るためにも来場して自店にプラスになるものを持ち帰ってほしい」と話していた。
【書店に向けて】「BOOK EXPO2022」
大垣全央実行委員長

「書店の底力を見せつけよう」と大垣氏
BOOK EXPOは経営者が懇親を深める趣旨ではなく、現場スタッフが情報収集し、本気で商談して仕入れる場としてスタートしました。アルバイトやパートの人、出版社と直接話をしたことがない人、本が大好きな人、店頭で本を売る人ならこの上ない経験になります。
販売会社もいろんな改革に着手してくれていますが、新刊配本の面など書店にとって不十分な点があるのも事実です。しかし、そこは本屋自身がもっと勉強して商品の目利き力を養わなければなりません。「厳しい」、「苦しい」と弱音を吐いても何も始まりません。こういう場所に来て、出版社や書店同士で対話して、有意義な情報を得ましょう。
コロナで臨時休業など店頭は混乱、出版社、販売会社もみんな大変でした。一方、『巣ごもり需要』の言葉が生まれるなど本の魅力、本の持つパワーを改めて認識できた一面もあります。テーマの通り、今こそみんなが集結し、書店人の底力を会場のみならず、出版界、日本全国に見せつけましょう。
日時:2022年11月2日(水)11:00~18:00
会場:ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター(グランフロント大阪 北館地下2階)
主催:「BOOK EXPO 2022」実行委員会