パイ インターナショナル ジャンルを広げ販売方法も多様化、「BIツール」でデータを活用

左から長岡、町田、加藤の各氏


 株式会社パイ インターナショナルは今年、初のコミック単行本を刊行したが、直ちに重版と好調なスタートを切った。デザイナー向け書籍でスタートした同社は、児童書、趣味・実用、そしてコミックなどへジャンルを拡大。販売方法も多様化する中、2021年に光和コンピューターの分析システム「BIツール」を導入したことで、在宅や営業現場で販売データの分析が容易になるなど効果を発揮している。


児童書が売り上げの柱に成長

 同社は1971年に創業。当初はグラフィックデザイナー向けのデザイン集を中心にスタートし、写真集、アート・芸術、技法書などに拡大。15年ほど前には児童書に進出した。

 当時営業を担当していた長岡多英子新規事業開発部部長は、「デザイン本は流行があるため賞味期限は3~4年。営業としては長く売れる本が欲しかった」と振り返る。ちょうど、創業者が孫に贈った児童書の奥付で、長年にわたり版を重ねているのを目にしたこともあって、この分野に参入した。

 販売は当初厳しかったが、ビジュアルにこだわった絵本作りを続け、「5点目ぐらいで売れ始め、アイテムが増えるに伴って定着していきました」(長岡部長)。

 近年は2018年に刊行した『おむつのなか、みせてみせて!』が累計37万部、今年2月刊の『きみのことが だいすき』は発売9ヵ月で15万部に達するなど、売れ行き良好タイトルが増加。いまや児童書が売り上げの36%を占める大きな柱となっている。

イラストレーターからコミックの書き手発掘

左からデザイナー向け書籍『小さなベーカリー&焼き菓子店のデザイン』、刊行後まも なく15万部に達した『きみのことが だいすき』、初のコミック単行本『星旅少年1』

 コミックは、Web連載していた『星旅少年』の単行本を今年4月に1巻、9月に2巻を発売。各1万部ほどの初版だったが、それぞれ発売後すぐに重版がかかった。

 著者の坂月さかなさんは、同社から作品集を出しているイラストレーター。コミックを出そうと考えていた同社が執筆を提案した。書店向け拡材やネットでの動画プロモーションなど施策を展開。「web連載時から好評でしたが、発売後リアル書店さんの展開のおかげで実売も好調となりました」と広報や宣伝を担当する町田康司広報部部長兼営業部課長。

 同社が手掛けるコミックアート分野では、SNSでフォロワーを集めるイラストレーターなど有望な書き手が多い。すでに『ひとりぼっちがたまらなかったら』(idonaka著)の連載も始めるなど、今後もコミック分野を広げていく考えだ。

書店訪問営業からWeb商談会まで展開

 同社は社員52人のうち書店営業が12人、直販営業が3人と営業人員の比率が高い。当初、専門的なデザイン書が多かったため、書店を直接訪ねて受注する営業活動を展開したためだ。

 こうした営業方法は、コロナ禍で難しくなったが、それに危機感を持った三芳寛要社長は他の出版社に呼び掛けて、「書店向けWeb商談会」を開催。その流れで、今は往来堂書店(東京・文京区)の笈入建志氏とともに「公開書店営業inスペース」に力を入れるなど、新たな営業手法を積極的に開拓する。

 システムは、2010年ころに「刊行点数が増えて取引条件も多様化する中で、取次の計算書を手計算で管理することが難しくなりました」(加藤知夏営業部営業管理課課長)と出版専門システムの導入を検討。

 複数社のシステムを比較して、「出版の実績が多かった」ことで、光和コンピューターの販売管理システムを導入。直販の小売店管理や、海外への物販や版権取引管理などのカスタマイズを行って、2011年に稼働した。

 また、コロナ禍でWeb通販やEDI受注の増加に対応して、データ取り込みや伝票自動作成、倉庫への出庫指示ができるようシステムを改修。さらに、「BIツール」を導入することで、在宅勤務や出張中でも社外から販売データなどを活用することが容易になるとともに、テンプレートを利用することで集計の自由度も高くなった。

 今後に向けては、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応について検討を始めているほか、来夏には印税システムを導入し、販売管理システムと連動できる体制構築に向けて準備を進めている。



株式会社パイ インターナショナル

設 立:1971年7月19日
資本金:3600万円
代表者:三芳寛要
所在地:〒170-0005 東京都豊島区
南大塚 2-32-4
電 話:03-3944-3981(代表)