トーハンは3月1日から、出版社と書店を対象にしたオンライン施策説明会「TOHAN COMPASS」の配信を始めた。今回は、昨年10月にスタートした新しい仕入・配本プラットフォーム「enCONTACT(エンコンタクト)」について、その開発の目的や機能の特徴を近藤敏貴社長、川上浩明副社長がプレゼンテーションしている。配信は3月31日(金)16時まで。
トーハンは2019年から、中期経営計画「REBORN」をスタートさせ、23年度はその最終年度となる。近藤社長は「なかでも22年度は新流通構築の武器となる大きな3つの施策が動き出し、いよいよマーケットイン型出版流通の具現化に向けて、『REBORN』計画は次のフェーズに移った」と語り、DNPとの協業、マーケットイン型販売契約、そして書店と出版社、取次をつなぎ、書誌をはじめとする出版情報をより高度に仕入・販売へ活用していくための新仕入・配本プラットフォームenCONTACTの「これら3つの施策が新流通構築の武器になると考えている」と強調した。
書店向けWebシステム、出版社向けWebシステムと2つのシステムで構成されるenCONTACTは、昨年10月末から同社グループ書店ならびに一部の出版社に先行してサービスを提供している。
近藤社長は「そもそもなぜenCONTACTのような仕組みが必要なのか。私たちはこのプラットフォームをマーケットイン型出版流通の要になるものだと位置づけている」と訴え、「その新しい流通はドイツの書籍流通をロールモデルのひとつとしている」と改めて説明した。
「ドイツと日本の流通との最大の違いにして、決定的な違いがひとつある。その違いは近刊情報などの出版流通情報の活用度合いだ。いかにして情報を集約し、活用していくのか。その意識がドイツは非常に高い。その差異に対するトーハンの回答がenCONTACTだ」と語った。
ドイツの事例を紹介しながら、「ここにヒントがある。出版情報の活用レベルをドイツのように高度化していくことが、流通合理化の大きな鍵となる」として、「ドイツ書籍流通のポジティブな流れを再現することが、私たちがenCONTACTを通じて実現したいこと。近刊情報の集約と提供を容易にし、かつそれらをサプライチェーンの各ポイントで共有可能なものとする。また、これまでのように刊行後に一生懸命プロモーションを行うのではなく、刊行する前から書店やお客様へ商品の情報を届けていく。そのようにプロモーションに関する意識の転換も後押ししたい」との考えを示した。
最後に、「ニーズに即した適宜・適量流通、すなわちマーケットイン型出版流通への構造転換へつなげていきたい。情報は、そこにあるだけでは意味がない。活用できる仕組み、活用する意義があって初めて、情報はその真価を発揮する。enCONTACTが広く普及し、皆さんにご利用いただくことで、出版流通情報の価値はいっそう高まると信じている。積極的な活用をお願いしたい」と求めた。
続いて、川上副社長がenCONTACTの利用拡大に向けて、押さえてほしいポイント、活用してもらいたい機能などを中心に紹介。enCONTACTの特徴として、①JPRO、BooksPROとのスムーズな連携②事前申込や配本確認までが可能で、既刊商品の発注システムである同社のTONETSVともSSOで連携、新刊と既刊、配本と注文と出版物のほぼ全ての流通情報がカバーできる──ことなどを話している。