日経BP「日経特約店会・春季企画説明会」開催 注力新刊や報奨企画など説明

日経BP・吉田直人社長


 日経BPと日経BPマーケティングは4月18日、東京・千代田区の日経ホールで「2023年日経特約店会・春季企画説明会」を開催した。説明会はリアル会場とオンラインでのライブ配信で開かれた。会場には主要書店、取次など特約法人55人、単店特約書店174人が来場。ライブ配信を含め全国の書店関係者約600人が視聴した。

 冒頭、日経BP・吉田直人社長があいさつに立ち、「日本経済新聞出版と日経BPが経営統合して3年、活動はかなり一体的に進むようになってきた。例年600冊程度を発刊しているが、委託にとどまらず注文につながる質の高い書籍づくりを目指す。イベントや広告、テレビ、ネット露出などを繰り返すことで着実に売り伸ばしを図り、返品率を下げて流通経路に負担がかからないように取り組んでいきたい。書籍出版業に取り組む我々にとって、いま一番の義務だと考えている」とした。

 また、1周年を迎えた日経BOOKプラスにも触れ、「毎日新しいコンテンツを導入している。著者、編集者、書店、書籍ファンらを紹介し、声を届けるなど、リアルとデジタルの世界を融合した、より良い出版物情報を広く提供していく」と述べた。

 特約店表彰では、年間売上金額部門、年間売上金額伸長率部門、個人賞部門、販促特別部門を発表。個人賞のブックスタジオ大阪店・桑野禎己さん、東京大学消費生活協同組合本郷書籍部・臼井友之さん、紀伊國屋書店湘南営業部・遠山俊輔さん(代理)、大垣書店外商部・北川遼平さんが壇上で吉田社長から表彰を受けた。



 続いて、来賓として紀伊國屋書店・高井昌史会長兼社長が登壇し、過日電車で本を読んでいるのが自身一人だけだったエピソードを紹介。「本の業界で生活しているのだから、従業員には電車には本を持って乗るように伝えている。われわれは身をもって一貫性のある行動を起こさないといけない。昨年好評だったBOOK MEETS NEXTは今年もやる」とし、「こういった状況の打開には日経グループが必要。皆様とともに増売に取り組み、特約店会の販売シェアも昨年実績を大きく上回れるよう約束する」と力を込めた。



 主要企画説明では、今年で創刊35周年を迎えた『日経WOMAN』の飯泉梓編集長が編集方針について説明。スキルアップや学びへの意欲、マネーリテラシーが高い読者層に向けて、企業の女性活用が本格化し、ライフイベントと仕事の両立化がしやすい環境整備が進むことを追い風に、多様なロールモデルを紹介するとともに、変化の激しい時代を生き抜くための働き方、暮らし方を提案していく」と説明した。

 書籍については日経BOOKSユニット第一編集部・赤木裕介部長が説明に立ち、累計6万部のヒット作となっている『冒険の書』について「10万部、20万部を目指してさらにプロモーションをかけていく」としたほか、ビックタイトルとし3点、累計130万部のベストセラーのリニューアル『さあ、才能に目覚めよう 最新版』、人気の中野信子さん最新刊『エレガントな毒の吐き方』、髙樹のぶ子さんによる『小説伊勢物語 業平』に続く『小説小野小町 百夜』を解説。その他、「教養としてのお金と経済」「新しい時代の経営とビジネススキル」の関連書としてそれぞれ5作品を紹介し、店頭展開への協力を呼びかけた。

 また、日経BOOKプラス・常陸佐矢佳編集長が登壇し、「学び意欲が高い」、「トレンドを知りたい」、「本が好き、読書家」という3つの読者層それぞれに読まれた記事、お勧めの記事を解説。SNSにも積極的に注力しており、TikTok売れとして『キーエンス解剖』がZ世代などで大きく動いた事例や、今年4月で1周年を迎える記念企画「著者による朗読」を紹介した。

 この後、日経BPマーケティングの橋田祐孝取締役リテール営業ユニット長が販売促進・報奨施策について説明に立ち、売れ筋として『キーエンス解剖』『キーエンス高付加価値経営の論理』、『一気読み世界史』、『リセットの習慣』、『冒険の書』を紹介するとともに、5月22日から首都圏JRドア横広告を展開することを報告。

 今年の報奨企画のポイントとして、「重点新刊を既刊作品と併売し、併売するロングセラー作品に報奨をつける」と説明した。さらに、日経BOOKプラス1周年記念「1冊入魂フェア」22タイトルや、企業・学校などで教科書やサブテキストとして採用された作品を掲載したパンフレット作成、「書店外商グループ」の新設などを報告し、特約店会の拡大に意欲を示した。

 最後に、来賓のトーハン・近藤敏貴社長が「出版業界は活字や本を後世につなげていく素晴らしい仕事だが、業界はいま非常に難しいところにいる。間違いなく言えることは、守るために戦おうとしなければダメな状況にきている」と危機感を示し、BOOK MEETS NEXTや「議連」への働きかけなどへの協力を呼びかけた。

 説明会の後、『冒険の書』の著者・孫泰蔵さんが講演した。

【表彰書店】
▽年間売上金額部門
 1位・丸善丸の内本店
 2位・紀伊國屋書店新宿本店
 3位・ジュンク堂書店池袋本店
 4位・丸善日本橋店
 5位・紀伊國屋書店梅田本店
 6位・八重洲ブックセンター本店
 7位・三省堂書店有楽町店
 8位・ブックファースト新宿店
 9位・三省堂書店名古屋本店
 10位・有隣堂横浜駅西口店

▽年間売上金額伸長率部門〈単店部門〉
 紀伊國屋書店大手町ビル店
 BOOK COMPASSエキュート東京店
 BOOK COMPASSエキュート上野店

年間売上金額伸長率部門〈法人部門〉
 ブックスキヨスク
 JR東日本クロスステーション
 METRO PLUS

▽販促特別部門
 丸善仙台アエル店
 くまざわ書店

▽特別部門功労賞
 八重洲ブックセンター