
今回で7回目を迎える料理レシピ本大賞。昨年の料理部門大賞を受賞した『世界一美味しい手抜きごはん』(KADOKAWA)が各メディアで取り上げられたこと、またハウス食品と朝日新聞社を公式スポンサーに迎えたことも大きな追い風となり、今年はさらなる躍進の年となる。
今回もメディアドゥが提供するゲラ読みサービス「NetGalley」で、全エントリー作品を読むことができる。また今年1月から書店選考委員の募集も開始。パートやアルバイトなどを問わず、書店員であれば、誰でも選考委員になることができる。
今年は選考委員に登録した書店員に対し、特製「選考委員缶バッヂ」を、また最終選考まで投票した書店選考委員には図書カードネットギフト2000円分を進呈する。
今回、久美堂四丁目店に勤務し、今年で選考委員として3回目の参加となる金田希美さんに、料理レシピ本大賞の魅力やレシピ本の奥深さ、さらには思い入れのある料理作家についても語ってもらった。
(取材協力:メディアドゥNetGalley担当 藤吉信仁)
料理作家たちのバックストーリー
一昨年に店長から誘われて、料理レシピ本大賞の選考委員に参加したという金田さん。料理レシピ本大賞の授賞式は、各受賞作の作家らすべてが登壇し、受賞の言葉を述べるも特徴のひとつだ。料理レシピ本大賞の授賞式で、各受賞作家のバックグラウンドや制作背景などを聞けることは、とても貴重な体験です。特に印象に残っているのは、『もうレシピ本はいらない』(マガジンハウス)でエッセイ部門を受賞された稲垣えみ子さんの受賞コメント。ご自身のお母様が認知症になられて、目を離せない状況だったそうで、その背景があって、この本が世に出たんだ、と感心したことを覚えています。
また一昨年の料理部門大賞『みそ汁はおかずです』(学研プラス)の瀬尾幸子先生のお話も印象的でした。「普段、料理をしない担当編集者でも作れるように」というコンセプトで企画が進んだという話を聞いて、「作る工程が簡単に書かれていたのには、そういう理由だったのか!」と妙に納得しましたね。

特製「選考委員缶バッヂ」デザイン
今あるもので作れてしまうレシピ本の強さ
例年同様、今回もコミックや子どもの本部門、その他部門賞を設ける。金田さんは選考するにあたり、どういう基準で投票しているのか。料理部門については本を開いたときに、シンプルに「おいしそう!」で決めることが多いですね。昨年、大賞を取った『世界一美味しい手抜きごはん』については、わかりやすくて、簡単で、食材が少なくて作れる、というところがポイントでした。料理って、基本ルール通りに作らなくてもいいと思っていて。基本はレシピに沿いつつも、家にあるものでアレンジして作っちゃってもいいんではないかと。だから冷蔵庫にある素材で作れるっていうのは、それだけで魅かれますよね。大賞をとったのも納得いきます。コミックについては、もともと料理ものとかグルメものも好きなんですが、「おいしそうだなあ」と思える一コマがあると魅かれます。絵本は割と印象で決めていて、かわいいなとか、素敵なお話だなと思った作品ですね。
「家族のため」と「自分のため」のレシピ本
金田さん自身、料理をすることが好きだという一方で、決して得意ではないと、謙遜する。
私は料理を作ることは好きだけど、得意じゃないんですよ。レシピ本でも、3ステップで作れるようなものが好みで。でも時短などの簡単レシピは、実は家族持ちの人には、ちょっとボリュームが足らないんじゃないかと思います。 「家族のため」ということと、「自分のため」ということでは、同じレシピ本でも別のラインにあるんじゃないかなと。主婦とか一人暮らしの学生とか、そういう選考の仕方もあるといいですよね。私も家族のために作る機会が増えたので、今回はそういう視点で選考することになると思いますね。今回もどんな作品がエントリーされるのか、今からとても楽しみです。
マンガを描くことが好きだという金田さん。授賞式のレポートをマンガに!


