湯浅創

新型コロナウイルスを越えて

#5月18日

COVID-19の影響が日々大きくなり、行政からの休業要請により、書店店舗の閉鎖が相当数出るようになってきた。いうまでもなく重要な問題は従事者の健康と売上という日々の糧との二律背反をどのように突破するか、という課題である。 個人的な考えを言えば、「出版は人なり」という基本テーゼに立ち返って考えるべきだろう。もちろん、お金がなければ生きてはいけない。したがって、売上を取りに行くのは当然であるが、前線…続き

新型コロナウイルスと出版業界

#4月20日

新型コロナウイルスの影響が日々大きくなり、世界的には比較的抑えているとされている日本においても、従業員の発症による商業施設の一時閉鎖のニュースは散見されるようになった。また、営業時間の短縮も多く行われるようになっている。 ワクチンを中心とした治療法が確立されない限り、このウイルスに対する「恐怖」は消えるものではなく、開発にどれくらいの時間がかかるのかまったくわからない。東日本大震災と原発事故のとき…続き

Amazonの仲間卸の意味

#3月4日

 Amazonが2/7付で公表した「仲間卸」施策。単純に言ってしまえば、トーハンのブックライナーや楽天ブックス(ネットワークではなく、通販の方)の「書店様向け客注サービスβ版」と同じ役割とみることができる。要するに既存の取次ルートよりも高正味だが早く着荷するというものと考えてよいだろう。もちろん、客注対応に限られるものではなく、通常の仕入れに使うこともできる。 Amazonがその正味を公表して…続き

新規店を言祝ぐ

#2月6日

年初早々に丸善ジュンク堂書店の2店舗閉店が発表され、SNSなどでも話題となった。閉店を惜しむ声があるのは当然の反応ではあろうが、「小売店舗のあり方」が変わってきていることを理解・周知していくことが必要であろう。 たとえば、定期借家契約となっていればその期限になれば退去することになるわけである。もちろん、売上減が主たる要因となっているのは当然のことではあるが、それだけではないことにも注意しておく必要…続き

「セカンドメディア」として

#1月9日

11月には、出版社では東邦出版、書店チェーンではリブレット(大和書店)と各プレイヤーにおいて残念なこととなった。危機感を覚えざるをえないのは、次第次第に負債規模が大きくなってきていることであろう。いわば、「中間層のふるい落とし」が生じているということである。その一方で、「新しい書店」や一人出版社も立ち上がってきているのは、「出版物」になんらかの愛着を持つ者としては喜ばしい限りである。 しかし、出版…続き

「動く書店」の時代

#12月3日

まずは、2つの台風の被害にあわれた皆様方に御見舞を申し上げたい。輸送の観点からすれば、ほぼ10月いっぱいにわたり東北本線の区間不通は大きかったように思われる。10月は台風の影響が大きかったがゆえに、消費税の影響を見極めるには難しいが、日本出版販売が公表しているデータによれば、雑誌92.8、書籍90.2、コミック103.2、開発品98.7の合計94.0である(11/7ニュースリリース)。『鬼滅の刃』…続き

湯浅創さん

非日用品としての出版物

#9月23日

 小売業を考えていくとき、利益率と入店客数が軸となる。商圏に縛られる入店客数は言い換えればリピート率と言えるだろう。それゆえ、利益率とリピート率の高低で4つに分類できる。書店という小売は、かつては「利益率:低、リピート率:高」であった。だが、週刊誌に代表される「リピーター誘引要素」が厳しくなったがゆえに、「利益率:低、リピート率:低」の商売になっている。この「低・低」の商売は、ファストフードや10…続き

湯浅創さん

「知と情」

#9月2日

先日、文化通信社の緊急セミナー「出版流通/今そこにある危機と未来」を拝聴した。個人的には論点そのものはすでに既知のものであり、特段に目新しいということはなかったが、それでもなお、このようなセミナーが開催されることが重要といえるのは、出版流通に関する「危機感」が薄いままにあるところだろう。関係者すべてではないが、それは出版社側だけでなく書店側も同様ではないだろうか。 出版輸送の料金は、極めて単純に言…続き

湯浅創さん

「ストック」と「フロー」

#8月5日

 「理想と現実」の間で揺れ動くのが人間だとすれば、出版業界もまたその間で揺れ動いている。それは結局「理想でメシが食えるか」というありきたりの問いに帰着するわけだが、「出版」なる行為の中で、称揚されやすい行為がそもそも「理想」に振れている以上、とりわけこの問いは忌避される傾向にある。 例えば、インターネットの一般化以降、知識の「ストック」はその意味を減じ、「フロー」の中での「ふるまい」が重要となって…続き

湯浅創さん