【料理レシピ本大賞2022】受賞作品を一挙紹介、担当編集者が語る「作家と作品」

〈料理部門〉大賞
ライツ社『リュウジ式至高のレシピ』リュウジ

 「出版するからには『至高のレシピ』は絶対に大賞を獲らなければいけない」と、ずっと思ってきました。それはこの本が、著者であるリュウジさんがいちばん出したかった本だからです。

 リュウジさんがTwitterで初めてバズを起こしたのは2017年、そこから「自炊の楽しさを伝えたい」という思いのもと、まずは読者の料理へのハードルを徹底的に下げる発信を続けて、ついに大賞を受賞したのが、前々回の『悪魔のレシピ』でした。

 その後、あるテレビ番組に出演された際に「人生の宝物はなんですか?」という質問に、料理レシピ本大賞でもらった盾を紹介されていました。ぼくもほんとうにうれしかったです。その頃は、いわゆるかんたんレシピ本の全盛期でした。

 そこから、次にリュウジさんが挑んだのは「かんたん」でも「時短」でもないレシピの発信でした。手の込んだ料理、ハードルの高い食材、いままでは控えていた調味料、……それが受け入れられるかどうかはわかりませんでした。

 それでも「至高」とは、「人生でいちばん美味しい」とは、「自分の舌に合わせて、自分好みの味にした料理のことだ」ということを伝えたくて、リュウジさんはこの本を出し、その結果、『至高のレシピ』は前作を上回るスピードで売れていきました。この売れ行きこそ、多くの読者に「自炊の楽しさ」が伝わったという証明ではないでしょうか。

 リュウジさんの5年間のたゆまぬ努力に、最大限の敬意と感謝を贈りたいと思います。

代表取締役社長 大塚啓志郎



〈料理部門〉準大賞
学研プラス『今日のごはん、これに決まり!Mizukiのレシピノート決定版! 500品』 Mizuki


 SNS上で絶大な人気を誇る料理研究家のMizukiさん。彼女のブログやインスタグラムには、日々のごはん作りに奮闘する方々の声に応えた、簡単なのにボリューミー、そして何よりおいしそうな(もちろん本当においしい!)レシピがたくさん紹介されています。本書は、そんなレシピを「これでもか!」と詰め込みました。

 Mizukiさんから「これまでのブログを1冊にまとめたい」というお話をいただき、やるからには、今までにない品数で、“今作れる”レシピをすぐ検索できる形に、と話し合いを重ね、このように分厚いレシピ事典のような本になりました。

 膨大な数のレシピを一から整理し、掲載レシピ選定、ページ作り、校正…と何から何までものすごいボリューム感で、Mizukiさんはじめ、制作チーム全員が四苦八苦しながら作りました。

 著者の「少しでも料理がラクになるように」という熱意が詰まった集大成となっているので、多くの方に手に取っていただき、一同うれしく思います。何よりも私自身、この本の大ファンです。本書がみなさまのごはん作りの相棒のような存在になってくれたらうれしいです。

趣味・実用編集室 岡田好美



〈お菓子部門〉大賞
主婦の友社『満月珈琲店のレシピ帖』 桜田千尋


 満月珈琲店のイラストを初めて見た時、一瞬で心を捉えられました。どこか懐かしく、このままずっと眺めていたいような不思議な感覚。見ているだけで、ふぅ~とひと息つけるような、やさしい癒やし。そんな満月珈琲店のメニューを実際に作って、食べられたらみんなに喜んでもらえるんじゃないかな…。そのような単純な理由で、著者の桜田さんと企画の話し合いがスタートしました。

 桜田さんも私も、大のスイーツ好き。仕事で疲れた1日の終わりには、一杯のお酒よりも、何か甘いものをくつろぎながら食べるほうが、気持ちがリフレッシュできるよね、という話で意気投合…!打合せの場所はレトロな喫茶店やファミレスなどで、スイーツやドリンクのメニューを、いろいろ吟味するのが楽しいひと時でした。

 また桜田さんはファンや読者を特に大切にされる方で、その姿勢にはいつも頭が下がります。SNSやイベントなどでも、どうすればみんなが喜んでくれるか、もっと楽しんでくれるかを常に第一に考えてくれています。そんなファンや読者への愛や思いが、ハッと人を惹きつけるイラストにも表れているんだろうなと感じます。

 なかなか夜空を見上げる機会が少ない今ですが、月や星に思いを巡らせながら、満月珈琲店のレシピでゆったりと特別な時間を過ごしていただければと思います。一人でも多くの方の疲れが癒やされますように…。


コンテンツ編集部 中川通



〈お菓子部門〉準大賞
ライツ社『はるあんのベストおやつ』 はるあん


 はるあんさんがお菓子をつくり始めたのは小学5年生のとき。サンタクロースからケーキの型をもらったのがきっかけだったそうです。料理動画をアップし始めたのは高校1年生のとき。それから、いわゆる「料理系YouTuber」の先駆けとして瞬く間に人気者になり、このおやつ本が完成したのはハタチになった直後のことでした。

 料理が好きで好きで好きで、もちろんレシピ本もたくさん読んできて、初めて買ったのはなかしましほさんの本で……制作中にそんな話を伺いました。「YouTubeの申し子」とも呼べるはるあんさんが、レシピ本が大好きだった。その事実が単純にとてもうれしかったことを覚えています。

 はるあんさんにとって、レシピ本を出すことは夢で、料理レシピ本大賞を受賞することは大きな目標の1つだったそうです。その過程に携われたことを光栄に思いますし、これからも、若い世代に本のおもしろさを伝えていく努力を作り手ともに続けていきたいと思います。


代表取締役社長 大塚啓志郎



〈料理部門〉入賞
KADOKAWA『宇宙一ずぼら絶品めし』だれウマ




 初めてお会いしただれウマさんは、就活中の大学生でした。あっという間にYouTubeの登録者が倍増していき、料理研究家として大活躍。書籍も次々と刊行されています。常に礼儀正しく、真面目に仕事に取り組む姿勢に、フォロワー同様スタッフ一同撮影1日目からファンになりました。満腹めしからおつまみ、スイーツまで100品以上。

 料理初心者さんも、ずぼらさんも、日々忙しくお疲れな方も「これなら作ってみようかな」と思えるレシピが必ず見つけられる書籍です。たくさんの方にお手にとっていただけたら幸いです。本書にかかわってくださった皆様に心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。


ライフスタイル1部 斉藤直美



〈料理部門〉入賞
主婦の友社『10年かかって地味ごはん。』和田明日香



 特にかぼちゃの煮物や高野豆腐など、撮りながら(あまりにシンプルで)これだけでいいのかなと思った、と伺ったのは撮影が全部終わってから。でも、「写真になっていくのを見て、これを迷いなく作れるようになるまでの長い長い道のりを思い出して、自分だからこそ伝えられるコツがある」と思われたそうです。

 そして、友達に「どうやって作るの?」と聞かれたときに答えるような感じで作り方を書いてみたいと綴ってくれたのが本書のレシピ。エピソードのメモもそのまま採用。原稿が届くのをワクワク待っていました。

 この感動を、多くの読者に届けられていることを嬉しく思い、書店の皆様のお力添えに感謝いたします。ありがとうございます。

 

暮らし事業部 料理ユニット 宮川知子



〈料理部門〉入賞

世界文化社『お味噌知る。』土井善晴、土井光



 本書企画がスタートしたのはコロナ禍1年目の暮れ。当時、毎日の家族のごはん作りに疲れてしまった人、自炊をするにも何から手を付けていけばいいのかわからない人など、「料理をする」モチベーション自体が根底から揺らいでいたように思います。

 土井善晴先生の「家庭料理の基本は一汁一菜」という提唱は、無理のない持続可能な暮らし方・生き方に通じる発想ですが、本書はその実践版となるお味噌汁のレシピ本です。ひとりで楽しむ自由な味噌汁から、お正月や四季の味噌汁、ラーメンも入った味噌料理まで充実の1冊となりましたが、実は土井家のお味噌汁を一番熟知されているのが長女の光さん。

 味噌から広がる無限の楽しみが温かく伝わるのも父娘共著だからこそでしょう。この素晴らしい賞をきっかけに、さらに多くの皆様に本書が届くことを願っております。ありがとうございました。

 

編集部 川崎阿久里



エッセイ賞
ポプラ社『おいしい子育て』著:平野レミ、絵:和田誠

 

 どうしてもテレビのにぎやかなイメージが先行してしまうレミさんですが、家に帰ればひとりの母親。子育てと仕事の両立に悩み、ママ友に嫌味を言われることだってありました。

 それでも、子育てにも料理にも必ずおもしろみを見つけて、いつだって前向き。料理には子育てを楽しくし、家族の絆を強くする力もあるんだなあと思わせてくれます。

 文章のスキマからは、家族を愛するレミさんの気持ちがじゅわあっと溢れ出てきます。ちょうどハンバーグの肉汁みたいに。巻末の上野樹里さん、和田明日香さんとの鼎談もにぎやかで楽しい、心からおすすめの1冊です! 画像は、編集担当の私が作ったレミさんの貼り絵ポップ。ぜひ本と一緒にご展開くださいませ!

担当編集 辻敦



コミック賞
KADOKAWA『泣きたい夜の甘味処』中山有香里



 本作は、現役看護師兼イラストレーターである中山有香里さん初の創作漫画です。中山さんは絵を独学で勉強しているのですが、初校では右利きの人が左手でお箸を持っていたり、コマごとに部屋の間取りが違ったりと、実は絵の技術がすごく高いわけではありません。

 それでも彼女の描く作品の世界に引き込まれるのは、登場する人々が、失敗ばかりで情けなくて落ち込みやすくて、まるで自分を見ているようだから。そんな人たちが、甘味を食べて心を癒していく姿に励まされるからです。

 何度読んでも涙がこぼれる優しい物語をつむげるのは、彼女が看護師をしながら、たくさんの人々に寄り添い、時には最期を見守り、様々な思いを抱えてきたからだと思います。中山さんは今年10月20日に『疲れた人に夜食を届ける出前店』を刊行する予定です。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。

 

コミックエッセイ編集部 佐藤杏子


こどもの本賞
柴田書店『お菓子はすごい!』柴田書店編




 子どもにとって、お菓子作りはワクワクする作業です。混ぜたり、こねたり、型に入れたり…。作業自体は単純なのに、作っていくうちに、なんでもない材料がだんだんお菓子になっていく、その過程を含めての楽しさが、お菓子作りの醍醐味でしょう。

 そんな楽しさを、たくさんの子どもたちに味わってほしいと思い作った本です。教えていただいたのは、プロのパティシエやシェフたち。子どもでも作りやすい材料の配合や、失敗しにくい作り方をたくさん考えてくれました。

 漢字はすべてルビつきで、難しい専門用語も登場しませんから、子どもでも充分に理解できます。親子のコミュニケーションを深めるためにも、ぜひお役立ていただきたい一冊です。

書籍編集部 長澤麻美



プロの選んだレシピ賞
KADOKAWA『三國シェフのベスト・レシピ136 永久保存版』 三國清三




 【いちばん簡単でわかりやすい三國シェフ本】フレンチの巨匠・三國シェフが教えるYouTubeの人気レシピ136品を1冊に!「 簡単なのにお店の味!」「料理の腕が上がった!」「家族が喜んで食べてくれた!」など大反響です。


 おいしくなるポイントと失敗しないコツを丁寧に解説。これ1冊で、肉料理、魚介料理、スープ、前菜・つけ合わせ、麺・ご飯・パン、デザートまで網羅。全料理にお手頃なワインのペアリングも掲載。


 「材料2つのスープ」「パイ生地を使わないキッシュ」「つなぎいらずのガレット」など、忙しい日の夜も、ゆっくりしたい休日も、大事な記念日も、食卓をおいしく華やかに。今年12月刊行予定で第2弾も制作中!

ライフスタイル1部 草柳友美子・田宮昭子