「SDGs」とは、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」を意味し、2030年までに「貧困ゼロ」や「気候変動対策」など17の目標を掲げる国際的な行動指針を指す。10月1日より、東京・千代田区の丸善丸の内本店1階で大型フェアを開催。売上上位のタイトルで、週単位で50~60冊を売り上げ、その反響は丸善ジュンク堂書店グループの他店にも及んでいる。当店では好調な実績を受け、2020年1月末までフェアを継続する。今回、当フェアをレポートするとともに、好調な対象書籍を紹介する。(山口高範)
《丸善丸の内本店のフェアをレポート!!》
▲丸善丸の内本店では現在、約200タイトルでフェア
▲店頭には公式のバッジも展開。1200円と高額ながら売れ行きは好調
▲固い専門書でなくても、ノンフィクションなど意外なジャンルの本との親和性も高い
▲公式アイコンを使用したカラフルなパネルが目をひく
《メッセージ》
あらゆるジャンルの本がフェアの対象となるので、担当者によって、いろんなバリエーションのフェアができると思います。例えばファミリー層に強い書店であれば、ママ向けの「SDGsフェア」なども可能です。立地や顧客層を問うことなく、「SDGs」という枠組みでフェアが組めるので、ぜひ全国書店さんで実施してほしいですね。
▲友田健吾副店長(左)・1階売場長 松本 直亮さん(右)
《丸善丸の内本店 SDGsフェア 売れ行き良好書ランキング》

『SDGs入門』
(村上 芽・渡辺珠子/日本経済新聞出版社)

ランキング1位の入門書!学び始めるならまずはここから
大阪で開かれたG20サミットや、若き気候活動家グレタ・トゥーンベリ氏などが話題に上げたことで、日本での認知度も飛躍的に高まってきている「SDGs」。活用を促すビジネスセミナーが各地で開催されるなど、企業間でも注目が高まっている「SDGs」を、本書は1冊で学ぶことが出来る。
日本総合研究所に勤める二人の著者が、セミナーなどで頻繁に受ける疑問などを重点的に解説し、「SDGsをビジネスにどう活かすことができるのか」という視点を軸に構成。初心者でも理解しやすく、ビジネスの現場での実例も豊富で、入門書として最適な1冊と、読者はじめ書店員からの支持もあつい書籍だ。
□新書判/240㌻/本体900円
『2030年の世界地図帳』
(落合陽一/SBクリエイティブ)
テクノロジー、地政学から考察
SDGsを「自分事化」する
研究者や実業家など、多方面で活躍する落合陽一氏による本書。2030年までにテクノロジー・人口増減で変わる世界を俯瞰し、SDGsに関する貧困や環境問題、ジェンダーなどの地図やデータなどから、現状の世界と日本の問題点を浮き彫りにする。
世界のパワーバランスや各国の動向などについても触れており、地政学的見地から今後の日本の立ち位置を考えるうえでも参考になる。また著者ならではの強みでもあるテクノロジーの革新と、SDGsの関わりについても言及。
「自分事化」がしづらいSDGsだが、 SDGs時代における個人の意識の持ち方についても記されていることから、担当編集者は「これからの時代を生きる指針となる本」と評す。
□A5判/352㌻/本体1500円
『貧乏人の経済学』
(A・V・バナジー&E・デュフロ/みすず書房)
ノーベル経済学賞受賞の学者による
科学的に分析する最先端の貧困問題
SDGsの目標1に掲げられる「貧困をなくそう」。本書は2019年にノーベル経済学賞を同時受賞したアビジット・V・バナジーとエステル・デュフロによる著作で、食糧、医療、教育、家族、マイクロ融資、貯蓄など、世界の貧困問題を科学的に分析する新しい経済学を提示する。
本書では貧困を、「外国援助は役に立つのか、立たないのか」、「自由市場に任せるべきか否か」など、対立構造や図式で考えるより、具体的な問題とその個別の答えを考えるほうが役に立つと説く。
担当編集者は本書について「最先端の貧困問題がわかる古典」と語る。
□四六判/408㌻/本体3000円
『SDGs 2030年までのゴール 国連
世界の未来を変えるための17の目標』
(日能研教務部/みくに出版)
小学生にわかるように解説
企業も活用
持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に盛り込まれた17の目標で、翌年1月1日正式に発効した。
本書では小学5~6年生をメインの読者対象とし、SDGsを多くの小学生に知ってもらい、自分で考え、取り組んでほしいという願いをこめて2017年8月に刊行。SDGsに、授業や入試問題を通して取り組んでいる私学(私立中、高、中高一貫校)の活動も、過去10年以上さかのぼり紹介している。
編者の日能研は、小学高学年生が一人でも読めるようにと、難しい漢字にルビをふった。すでにSDGsに取り組む企業も本書を活用しており、大人の入門書としても役立てられる。
□B5判/127㌻/本体1000円
『Q&A SDGs経営』
(笹谷秀光/日本経済新聞出版社)
SDGsがもたらす世界的変化とは
伝道師が語る経営特化の解説書
本書はSDGsについて学んできた読者がさらに1歩進んで、経営のフィールドでSDGsを活用するための手法を、日本企業の取り組み事例を豊富に掲載して解説している。
著者の笹谷秀光氏は、「SDGsの伝道師」として精力的に活動している第一人者。行政の世界から経営に転じ、外交官として国連の動向をウォッチ、伊藤園でのSDGs導入を指揮し、現在はコンサルタントとして活躍中。
本書の中では、これからの社会情勢でSDGs対応がビジネスの常識になっていくことも展望。自身の経験や多くの実例を交え、企業が取り組むべきCSR活動を、SDGsとどのようにつなげていくかを具体的に説明している本書は、経営書としても役立てられている。
□四六判/288㌻/本体1500円
『持続可能な地域のつくり方』
(筧 裕介/英治出版)
SDGsの考え方を活かした地域づくり
カラー図版でわかりやすく解説
『地域を変えるデザイン』などの著者・筧裕介氏が、SDGsの考え方を活かした地域づくりの実践法を解説する。
著者は自治体のクリエイティブディレクターなど10年間の活動経験を踏まえ、住民参加型で長期的視座に立った地域作りの方法を本書でまとめている。
主な内容として、「誰一人取り残さない」SDGsの考え方に基づく地方創生の手法や、地域問題の「全体像」をとらえ解決の鍵である「4つの生態環境」を提示する。
ステップごとに手法を実践的に解説、カラー図版も豊富に駆使しわかりやすく解説する。担当編集者は「行政、地域づくりに携わる人たちにおすすめ」と推す。
□A5変/424㌻/本体2400円