2019年は秋に消費増税が行われるかどうかの見極めが非常に重要であったが、プレミアムクーポン券の発売予告等をみると、どうやらこのまま進む方向のようだ。となると、10月からの売上に対する下げ圧力をある程度予定しておかなければならない。これまでの消費増税から考えると個人的には3%程度の影響かなと邪推しているが、もちろん個人的なものであり、競馬の予想となんら変わらぬものである。
また、全国書店チェーンの動揺、日販の体制変更、トーハンもついに赤字の公表(実質的にはすでにそうであったが)、といったように、出版物の流通方面の制度疲労が抜き差しならぬレベルで顕在化してきている。また、まったく違った文脈においてはレジ袋の有料化も国際公約に近いレベルで公表された以上、実行に移されることになるだろう。
これは「今まで通りのことをしていてはいけない」ということでしかなく、「今まで通りにしてほしい」という願望を抱いているのであれば、それは即座に改めた方がいい。そうでなければ「即死」を迎えることとなろう。
では「いままで通りではないこと」とはどういうことだろうか? ここにはいくつものことが考えられるが、経営という観点から見れば、「休みを増やす」という側面から考えていくことがいいのではないか。すなわち、書店経営が赤字であるとすれば、その赤字金額幅を縮小するには開店時間を減らすということが1つの方法である。大きくは、人件費、光熱費と売上のバランスが営業利益ということになるが、そこの調整である。
より具体的には、店休日の設定、開店時間の縮減ということになるが、地域、立地ごとにこれらは異なるだろう。とくに開店時間の縮減においてであるが、「午後休憩」を設定するのはどうだろうか。夏に向かって外気温が上昇していく中、人出が少なくなることが予想される。であれば、その時間を閉店とし、人件費や光熱費(冷房代は確保した方がいいと思われるが)を少しでも抑えることである。「地域のため」という志は重要だが、まずは「先立つもの」の確保が必要だ。
また、IT化を進捗させることも需要だ。「100ドルパソコン」として、途上国用の教育用端末として登場したChromebookは、古いパソコン(どんなものでもよい)にOSをインストールすることで、ほぼ無料で作ることができる。これでかなりの作業をすることができる。付随条件はあるが、これの導入進捗を考えてもよいだろう。
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#湯浅創
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湯浅創 氏 -TAC株式会社 出版事業部 営業部-
1974年東京都生まれ。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。
2007年TAC株式会社出版事業部入社後、編集部、製作部、電子書籍製作を経て、営業部に異動。裔圏調在により、個々の書店の棚作りを提案する、
足で稼ぐデータマニア。バスマニア。近年、書店現場担当者向け、書店経営者向け、出版社向けに講演を行っている。
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