- 湯浅の眼 -

新型コロナウイルスを越えて

COVID-19の影響が日々大きくなり、行政からの休業要請により、書店店舗の閉鎖が相当数出るようになってきた。いうまでもなく重要な問題は従事者の健康と売上という日々の糧との二律背反をどのように突破するか、という課題である。

 個人的な考えを言えば、「出版は人なり」という基本テーゼに立ち返って考えるべきだろう。もちろん、お金がなければ生きてはいけない。したがって、売上を取りに行くのは当然であるが、前線に立つ従業員の気持ちを忘れてはならない。最低限、有給休暇など彼らの権利を認めることが必要であり、そして出来る限りの「危険手当」を支給することであろう。アメリカのスーパー・クローガーや島忠ホームズがやっているようなものである。原資がない、ということはもちろんあろう。しかし従業員を失うことに比べれば「手当」程度など安いものなのではないだろうか。

 長期的視野に立つことが必要な一方で、もう一つは「資金繰り」の問題がある。助成金、家賃免除などあらゆる手段を尽くすことになるが、世論に向かって「声」を挙げていくことも重要である。そのためには政治的な力も重要になる。大阪府や沼津市、小牧市、龍ヶ崎市では図書カードの支給が決まったが、第二、第三の普及活動につながるような力が必要になる。

 政治的なものからの自立が出版の自由を支えてきたという考えもある。しかし、事ここに至っては、自立そのものが難しくなっている。コロナ以前から、八戸など行政とコラボした書店が出現しており、今回の災厄がそれを加速させることになるだろう。もちろん、独立的にありたい存在はそのようにあればいいだろうし、それを否定することはあってはならない。しかし、主たる目的がもし「国民の文化的生活に資する」ということであるならば、存在し続けることが重要である。もっとも、その中身は既存の書店を残す、ということにとどまらない。むしろ新規の書店が出てくることの方が重要であり、「コロナ」で激変する購買行動を考えてみれば、インターネットを中心とした通販もさらに比重を増すことになる。「これまでのやり方」に固執しているのであれば、それは市場からの退場となるだろう。

新しいやり方を導入するための費用が捻出できない、というのであれば、より大きな存在の傘下に入ることも含めて考えていかなければならない。この休業期間、その画を描けたかどうかが勝負となる。